医師として働けなくなったら長期で補償!
ここでは、医師が働けなくなった場合に利用できる国の保障制度について詳しく解説します。
医師が病気や怪我によって働けない状態になった場合、社会保障制度として傷病手当金や障害年金、生活保護制度などさまざまな公的保障が設けられています。これらは、収入が減少してしまった場合に支給される手当や年金であり、加入している健康保険やお住まいの自治体に申請をすることで受けられます。万が一に備えて、ご自分が働けなくなった場合の社会保障制度についての存在を意識し、提供されるサポート内容を把握することが大切です。
労働者災害補償保険とは、労働中に起きた事故や疾患、または通勤中の怪我などによる障害や死亡時に適用される国の補償制度です。対象者は、労働者を使用する事業であれば従業員が一人でも、業種の規模や種類を問わずに適用されます。また、賃金を支払われる者が対象であり、アルバイトやパートタイマーなどの雇用形態についても関係ありません。
仕事に行けない場合は給料の約8割を保険給付されたり、受診の際は治療費が無料になったりといった補償内容になります。また、死亡した場合は遺族に年金や一時金の支払いがあります。
個人事業主である医師や、医療法人の役員(理事)は、基本的に労災保険の対象外となっているため労働災害補償が受けられません。
障害年金は、病気や怪我などの障害によって労働能力が低下した場合に受けられる年金です。国障害年金は大きく二つ。国民年金に加入している場合は障害基礎年金、厚生年金に加入している場合は障害厚生年金が該当となります。
障害基礎年金は支給要件が厳しいこと、また障害基礎年金のみで支給額が少ないため、日常生活を維持することは難しいと言われています。
生活保護を受ける場合、生活保護と障害年金はどちらか一方しか貰うことはできません。障害年金を受給出来ることになった場合、年金額が生活保護費から差し引かれることになりますので、受け取れる総額は変わりません。
国民年金の被保険者が障害によって労働能力を失った場合は、障害基礎年金の受け取りが可能になります。その場合、障害等級表に定める1級または2級に該当していることが要件です。また、給付を受けるためには、年金の給付状況や年齢などの条件が設けられています。
そこで、お住まいの市区町村役場の窓口に必要書類を提出し、請求する流れになっています。年金手帳や本人確認書類、医師の診断書など指定された書類の提出が必要です。
障害基礎年金に該当する状態は下記の通りです。
他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。
厚生年金の被保険者が障害によって労働能力を喪失した場合は、障害厚生年金の受け取りが可能になります。その場合、障害等級表に定める1級〜3級のいずれかに該当していることが要件です。1級〜2級に該当する障害では、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。軽度の障害である3級の場合は、3級の障害厚生年金が支給されることになります。
また、給付を受けるためには、年金の給付状況などの条件が設けられています。そこで、年金事務所に、加入期間の確認や医師の診断書、本人確認書類などの指定された書類の提出が必要です。
支給される年金額は、加入期間や障害の程度、配偶者の有無や子どもの数によって違いがあるため、手続きを行う前に日本年金機構やお住まいの年金事務所に相談することがおすすめです。
障害厚生年金に該当する状態は下記の通りです。
他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。
労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。
傷病手当金は、健康保険の被保険者が対象となっており、本人の病気休業中における、本人とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。健康保険の被保険者が病気や怪我ために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
給付要件は、健康保険の被保険者が業務外の事由による病気や怪我のために働くことができないことです。会社を休んだ日が連続して3日間を経過した日から4日目以降、休んだ日に対して支給されます。
支給期間は、同一の疾病・負傷に関して支給を始めた日から1年6月を超えない期間です。また、支給額は、1日につき直近12か月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額とされています。
要約すると、健康保険組合の加入者が、業務外の私傷病で働けなくなった場合、直前の給与の約2/3を、最大で1年半、健康保険組合が保障してくれる。という内容です。
障害基礎年金・障害厚生年金とは異なり、障害等級の認定を支給条件としていないため、傷病により仕事に就くことができないことの証明があれば支給対象となります。ただし、業務上・通勤災害によるものは(労災保険の給付対象となるため)支給対象外です。
また、傷病手当金の制度は原則として会社員や公務員などで健康保険に加入している人が対象であり、自営業・個人事業主が加入する国民健康保険には傷病手当金の制度がありません。
働けなくなった場合に受けられる国の公的保障制度は充実しており、最低限の生活を保障できる制度です。しかし、障害基礎年金・障害厚生年金を受給する場合は、障害等級の認定が支給条件となっており、給付条件は厳しく給付額も元の生活を維持するためにはとても十分とはいえません。また、健康保険の被保険者には、傷病手当金の給付がありますが、給付期間には制限があり1年半を超える期間の保障はありません。国民健康保険の加入者においては、傷病手当金の給付もありません。
そこで、民間保険を活用することによって、万一の際の収入不足を補填することができます。
例えば、国民健康保険に加入の個人事業主の場合、傷病手当金の代わりに短期の所得補償保険入されるケースが多くみられます。短期間の補償のみでは不安だという場合は、長期の所得補償保険を検討されるとよいでしょう。
一方、民間保険との併用は、公的保険の保険料以外にも民間保険に支払うための保険料を負担することになりますので、万一への準備と家計とのバランスを考慮して保険加入を検討しましょう。
万が一に備えて働けないときの保険の検討を
田伏 秀輝
病気や怪我で医師として働けなくなってしまった場合、公的保障制度では加入状況に応じて、一定の補償を受けることは可能です。しかし、こうした補償を受けられるとしても、健康で働けていた時期と同じように所得が補償されるわけではありません。高い年収である医師はとくに健康な時こそ、万が一に備えて働けないときの保険を検討してみてはいかがでしょうか。
おすすめは医師向け所得補償保険への加入です。この保険は、業務中や日常生活における病気や怪我で働けなくなった場合、入院や自宅療養でもカバーしてくれる保険です。 短期所得補償保険と長期所得補償保険があり、長期のものは最長満70歳まで補償してくれます。医師として働けなくなっても、長期間にわたって収入減少を補償してくれることは大きなメリットといえるでしょう。活用できる公的保障と医師向け所得補償保険を併用することで、より将来の安心感が得られるといえます。
自分がどの保険に入るべきかわからないという方は、医師向け所得補償保険のプロに相談することで、効率良く自分にぴったりのプランを提案してくれるでしょう。