医師として働けなくなったら長期で補償!

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そもそも医師に賠償責任保険は必要?

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賠償保険は、他人を死傷させたり、他人の物を壊したときなど、自身が加害者になり相手方へ法的な損害賠償責任が発生した場合にその賠償額に対して保険金を支払うものです。

医師専用の医師賠償責任保険においては、医療行為を原因とする訴訟に対して、その法的責任として負うことになった損害賠償金などをカバーします。ここでは、患者さんからのクレームや訴訟に対して、賠償責任保険が担う役割や必要性などについて解説しています。

年間約800件の医療事件が提訴されている

裁判所には、年間約800件の医療事件が提訴されています。(2010年~2020年時点)

※参照元:最高裁判所(https://www.courts.go.jp/app/sihotokei_jp/list?page=2&filter%5Btype%5D=1&filter%5ByYear%5D=2020&filter%5ByCategory%5D=1  第18表、第19表、第21表、第24表

※参照元:医師賠償責任保険ガイド(https://www.medpainrelief.com/faq/data.html

医師が訴えられるのは珍しくない時代であり、訴訟件数が多い診療科では医師不足も懸念されています。

また、賠償金も増加傾向にあり、億単位で請求されることも珍しくありません。一般的に医師のお給料は高いとされていますが、それでも簡単に支払える金額ではありません。こうした、もしもの事態の備えとして、医師賠償責任保険があります。

研修医個人で高額な賠償金請求が発生することも

医療現場では、医師をはじめとする医療関係者がミスや事故を防ぐため様々な取り組みをおこなっていますが、治療や検査がきっかけで思わぬ事態を引き起こしてしまうリスクをゼロにすることはできません。

また、病気ではなく見た目を積極的に変える自由診療などでは患者さんの期待も大きく、満足できる結果にならなければ訴訟で損害賠償請求に繋がることもあります。

病院賠と医師賠の違い

医師が加入できる賠償責任保険には、個人で加入する医師賠償責任保険と、病院が加入する病院賠償責任保険があります。補償内容はそれぞれの立場にそった内容になっており、保険の仕組みも違います。

また、一般的に病院賠償責任保険では勤務医師への補償はオプション扱いしており、病院の保険では勤務医師の補償を担保せず、勤務医に個人で医師賠償責任保険への加入を勧めている病院もあります。

医師賠償責任保険の種類

医師賠償責任保険には、大きく分けて2つのタイプがあります。勤務医や開業医、非常勤医師と立場によって加入できる保険が異なります。

①病院(診療所)賠償責任保険

病院賠償責任保険とは、医師賠償責任保険と医療施設賠償責任保険の2つの補償を組み合わせた保険です。病院や診療所の開設者が加入する保険で、病院や診療所での医療事故への損害をカバーします。

医師賠償責任保険では手術や診断ミスなどによる医療事故を対象としており、医療施設賠償責任保険では、医療業務以外での死傷や財物損壊を対象としています。個人立の病院(診療所)での加入はもちろんのこと、法人立の病院の場合、「法人」が訴訟対象となることも大いに想定されますので、万が一のリスクヘッジのためには、病院賠償責任保険に加入することが求められます。

②勤務医賠償責任保険(非常勤医師含む)

病院または診療所に勤務する医師を対象とした保険です。勤務先の病院賠償責任保険ではカバーしきれない部分を補償します。勤務先の病院や診療所における勤務医向け保険の加入状況を確認し、病院(診療所)で、もし保険に未加入だった場合や、補償額が足りないと判断した場合には、個人での加入を検討する必要があります。 

日本医師会医師賠償責任保険について

日本医師会が運営している保険で、A会員である医師は必ず加入することになります。(BC会員は医師賠責の保険付帯なし)医師賠責の保険料は医師会の会費に含まれており、損害賠償金の補償限度額は1事故1億円、保険期間中は3億円ですが、特約でさらに増やすことができます。

訴訟が起こった際には、医師会の医事紛争処理委員会が調査・審査をおこない、医師が矢面に立つことなく訴訟・示談での解決が期待できます。最近では、年会費がかかる、入会してもメリットが少ない、といった理由から医師会に加入せず、個人で医師賠償責任保険に加入する医師も増えてきています。

医師の訴訟リスク対策には、医師専用の賠償責任保険

田伏 秀輝

田伏 秀輝

医療行為はどれだけ注意していても、思わぬ事態を引き起こしてしまう可能性がゼロではありません。しかも、近年では病院だけでなく医師に対しても訴訟を起こすケースも増えており、病院だけでなく医師もなんらかの対策が必要になってきています。

医療技術の向上や自由診療の広がりから、訴訟リスクと億単位での損害賠償金請求も珍しくなくなっており、万が一に備えて賠償責任保険に入ることが自衛の手段として必然になってきています。