医師として働けなくなったら長期で補償!
兄弟姉妹での来院など、かかりつけ医として家族の体調管理をまとめて診ることも多い小児科医。自分は大丈夫と思っていても、取り違えや薬の処方量ミスによる訴訟なども起こっています。
小児科での診察は大人を診察する内科とは異なり、成長著しい成長段階の子どもを相手にするので、何が起こるかわからないといったリスクが大人以上にあります。そのため、インフォームドコンセントには十分な時間をかける必要があります。
分かりやすいように簡単な言葉で説明し、質問にもしっかり答えるなど、保護者との信頼関係を築くことは、予期せぬ事が起こった際にスムーズな対応を可能にします。
また、訴訟ではカルテが大きな意味を持つことからも、カルテには細部まで細かく記録する事が大事です。厚生労働省では、カルテ開示は患者さんの権利としているので、求められたら原則開示となります。時系列に並べることで、医療行為の全体像が把握でき、医師の判断の正当性を明確にすることができます。ひいては、訴訟にまで発展しないで済む可能性も高くなります。
近年では、患者さんの利権意識が高まってきていることからも、医師の責任を追及する動きが増えています。特に小児科では、怒りの矛先が病院や医師個人に向けられ、訴訟で訴えられるというケースも珍しくありません。子どもの将来を案じ、なるべく高い賠償金を請求するのも無理なからぬ事です。
訴訟にまで発展する可能性はゼロではなく、賠償金の支払いが発生する場合もありますので、そうしたケースに無理なく対応できるように医師賠償責任保険に加入しておくと安心です。
訴訟の多くが、医師個人だけでなく病院も含めて起こされます。病院は医師を雇用している責任があるので、医師にすべてを押し付けることはありません。また、病院と医師が表立って訴訟を起こした患者さんに接するのではなく、弁護士を通じた対応になります。
病院の名誉からも、よほどのことがない限り知らぬ存ぜぬな対応はしないですが、訴訟から損害賠償金が発生した場合、医師にもその負担を求められることがあります。病院によっては保険に加入しているなど訴訟に備えている場合もあるので、勤務する病院の訴訟リスクへの対策を知っておくといいでしょう。
開業医の場合は、開業の形態に合わせた医師賠償責任保険に加入する必要があります。また、開業して法人化したり、連携する地域の病院に出向いて診療・治療を行ったりする場合、そこで起きた医療事故には自分の医師賠償責任保険が使えないケースも出てくるため、業務の実態に合わせて勤務医用の医師賠償責任保険と重ねて加入するようにすると良いでしょう。
患者さんから訴訟を起こされた際に、金銭面における紛争解決のためのサポートが受けられる保険です。開業医や勤務医、研修医、アルバイトなど様々な立場の医師が加入できます。勤務先の病院が保険に入っていても、医師個人への補償は対象外の場合もあるので、個人で入っていると安心です。
医師賠償責任保険では損害賠償金だけでなく、損害防止軽減費用や、保険会社の調査協力にかかった費用、弁護士や裁判所での争訟費用、緊急措置が必要になった際にかかった費用までカバーされます。
請求される損害賠償金額は訴訟内容によって異なり、数百万から億超えまで様々です。在籍している科目での訴訟リスクと、過去の訴訟などから、大体の損害賠償金額を把握し、自身にあった医師賠償責任保険を選ぶのが大切です。
保護者への対応が訴訟リスクを減らす
田伏 秀輝
小児科での訴訟は当事者ではなく保護者がおこなう事からも、診察では保護者との密なコミュニケーションが大事になります。また、医療裁判だからといって、医療に精通した裁判官がおこなうわけではないので、もしものことを考えて医師賠償責任保険に加入しておくと安心です。
多忙な毎日を送る医師の皆さんは、なかなか時間の確保が難しいかもしれません。そんなときは、医師向け保険について熟知しているプロに相談することで、自分に合った保険を提案してもらえるでしょう。