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整形外科の訴訟リスク

目次
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整形外科の年間訴訟件数は年間100件前後とあり、手術件数の多さが関係しているともいえます(2015年~2021年時点)。

※参照元:最高裁判所(https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2022/220701-iji-toukei4-shinryoukamokubetsukisai.pdf

整形外科医師が訴訟リスク対策として実施すべきこと

整形外科では脊椎に関する訴訟が多い

最高裁判所がまとめた医事関係訴訟事件(地裁)の診療科目別既済件数において、整形外科では年70~100件前後の訴訟が起こっていることがわかります(2015年~2021年時点)。令和3年度では87件あり、診療科目別既済件数割合では10.6%と、多数ある診療科目の中でも高い割合になっています。これは、内科・外科・歯科に比べて4番目の多さであり、訴訟リスクは決して高くないとは言えません。

整形外科での訴訟リスクが高い理由には、外科系診療科の中でも手術件数が多い事が挙げられます。特に脊椎に関する手術による訴訟が目立ち、診断や治療の遅れ、手術による重篤な後遺症などから訴訟に発展しています。

※参照元:最高裁判所(https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2022/220701-iji-toukei4-shinryoukamokubetsukisai.pdf

日々のケアレスミスが大きな事故の引き金に

日本医療機能評価機構が6月29日に発表した2022年の「医療事故情報収集等事業」の年報によると、2022年の医療事故は531件、ヒヤリ・ハット事例は101万件以上もあったというデータがあります。

※参照元:日本医療機能評価機構

まずは常に「いつでも事故は起こり得る」という危機感を持ち、業務にあたることが必要です。また、業務遂行の過程で疑問を持ったまま医療行為を行わないようチェック体制を整えるなど、ミスの起こらない環境づくりも重要です。

密なコミュニケーションで患者さんを不安にさせない

訴訟リスクを減らすには、日頃から患者さんとのコミュニケーションを密にとり、カルテに細かく記録しておくことも重要です。

訴訟が起こる根本的な原因が、患者さんとのコミュニケーション不足であり、対応に不安を感じたことからと疑いをもたれることから始まっています。しっかりと治療を施していたとしても、不信感しかない状態ではトラブルに発展する可能性が高く、少しでも治療結果に不満があれば、それが「しっかり治療をしていないのではないか」と訴訟に繋がるのです。

また、カルテへの記録を十分におこなっておくことで、訴訟に発展しても医療行為の正しさを示す証拠になります。さらに、詳細なカルテはスタッフと患者情報が共有しやすくなるので、医療過誤防止にもなります。

医師が訴訟に巻き込まれたら

顧問弁護士を雇っている病院では、病院が矢面にたった対応がされますが、場合によっては医師に大部分の責任が求められることもあります。病院の経営者が、訴訟リスクについてどのように捉えているのかを把握しておくとよいでしょう。

また、訴訟になって法的責任から支払いが生じた場合、病院で支払えない金額を請求される場合もあります。病院から医師にもその支払いを負担するように要求されることもあるので、個人的に医師賠償責任保険へ加入していると安心です。勤務先の病院で勤務医を補償対象とした保険契約があるか、またその補償内容が十分かを確認して、個人での加入を検討しましょう。

医師賠償責任保険とは

医師賠償責任保険は多くの保険会社(代理店)が取扱っている保険で、法的責任による賠償金の支払いが生じた場合、その負担をカバーする事ができます。

形成外科では手術関連での訴訟もみられることから、訴訟によっては億単位での賠償金額になることもあります。医師賠償責任保険に加入していれば支払いへの負担を大きく軽減できます。

医師賠償責任保険の主な補償内容

医師賠償責任保険では、常勤している医療機関だけでなく、出張診療や外部の医療施設内での事故にも適用可能。さらに、医師本人だけでなく、直接指揮監督下にある看護師や専門技師などによる事故も対象と適用範囲が広いです。

また、治療費、入院費、慰謝料、休業補償にかかる費用だけでなく、応急手当や緊急措置に要した費用なども支払われます。

信頼関係を大事にした治療が大事

田伏 秀輝

田伏 秀輝

手術による治療が多くを占めることからも、内科・外科・歯科に続いて訴訟件数が多い整形外科。診断や治療の遅れ、手術による重篤な後遺症などによる訴訟が多く、法的責任による損害賠償請求額も高額になることもあります。

整形外科で訴訟リスクを減らすには、患者さんとのコミュニケーションを密にした信頼関係のある治療と、密に記録したカルテが大事です。また、いざという時に備えて医師賠償責任保険に加入しておくと安心です。

医師としての仕事も忙しい中、全てのプランを把握し比較するのは時間的にも難しいので、保険のプロに相談するのも一つの手です。