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実際の医療事故の裁判で医療行為の過失が認められた判例

目次

医師向け賠償責任保険は、「医療行為を行った際の事故で、医師が損害賠償責任を負う場合に補償される保険」のため、「医療事故等で医療行為に問題がありそうだ」というだけでは補償されず、医療裁判を行い、損害賠償が起きたときに補償される保険です。損害賠償の請求額+弁護士費用などの訴訟費用が補償されます。ここでは、実際の医療事故の裁判で医療行為の過失が認められた判例を紹介します。

脳神経外科における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:7,087万円、支払い結果:6,965万8,969円

くも膜下出血の可能性を認識していた患者に、アルコール多飲後に激しい運動をしたことによるものであると判断。CT撮影をせず「くも膜下出血ではない」と判断し患者を帰宅させた。頭痛と嘔気はその後も持続。4日後意識を消失し、くも膜下出血と診断され死亡した。患者の妻及び子2名が担当医師に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所HP(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14353219.html

美容整形外科における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:4,147万2,262円、支払い結果:761万5,908円

患者はニキビを除去するため、看護師によるケミカルピーリングの施術を受けた。施術中に痛みを訴えたが、看護師は施術を中止しなかった。施術翌日、顔全体が腫れ上がり、痛みも治まらず口唇の周りがびらんになっていた。担当医師から複数回の治療を受け症状改善を行ったが、最終的には顔面に鶏卵大の肥厚性瘢痕が残った。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所HP(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14357706.html

産婦人科における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:2億7,024万1,672円、支払い結果:2億2,271万251円

患者は出産時に帝王切開術を受け、娩出直後に、めまいや呼吸苦等を訴えた。複数の検査を行い、救急搬送の手配をし約4時間半後、医療センターに高度出血性ショックの状態で到着。子宮切開創の止血を試み、子宮を全摘出。その後転院し低酸素性脳症と診断され、退院後遷延性意識障害(いわゆる植物状態)に。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所HP(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14356971.html

小児科・新生児科における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:5,062万9,842円万円、支払い結果:8,203万5,357円

新生児の患者は呼吸障害のため気管切開手術を受けたが、切開部位に装着された気管切開チューブの新鮮ガス供給パイプの先端が気管切開チューブの回路の閉塞をきたし、患者は換気不全に起因する多臓器不全により死亡。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所HP(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14356011.html

眼科における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:7,509万6,257円、支払い結果:1,146万3,929円

患者は右眼にセメントが入ってしまったため病院を受診。担当医師は生理食塩水をかけガーゼでセメントをこすりながら患者の右眼の洗浄を行った。その後何度か受診をしたが状態が悪化し、角膜表層移植術等の複数の手術を受けた後角膜混濁(瘢痕性角結膜症)と診断され失明状態となった。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14356399.html

消化器外科における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:7,932万円、支払い結果:2,466万円

患者は大学病院を受診し検査入院の結果、食道癌と診断され食道癌根治手術が実施された。その後、患者は呼吸不全の状態に陥ったため気管切開術が施行されたが気管切開の際頸部から大量出血してそのまま失血死した。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14353823.html

循環器外科における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:4,408万4,113円、支払い結果:3,911万5,360円

患者は頭がぼーっとなり目の前が真っ白になったことから受診したところ完全房室ブロック及び心室性期外収縮が見られるとの診断でペースメーカー植込み手術を受けることとなったが、予約がいっぱいのため、翌々翌週の火曜日を手術予定日とした。患者は手術前日に心室細動を発症し脳死状態と判定され、肺炎により死亡した。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14350277.html

呼吸器内科における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:2,790万4,367円、支払い結果:440万円

患者は人間ドックを受け、その後胸部CTの再検査で「肺がんの疑い」と結果がでたことについて、医師より「診断するには苦痛がある切除や開胸が必要、急ぐ必要はない」説明され、経過観察することにした。2か月後、体調の不調を訴え入院。肝細胞癌と診断され、リンパ節への広範な転移があり、肺がんに対する治療を行う間もなく死亡した。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14336296.html

救急における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:1,500万円、支払い結果:1,500万円

患者は階段で転倒し救急搬送された。左大腿部痛を訴えたことから股関節・手指・胸部レントゲン検査及び骨盤CT検査が行われ、左大腿骨頚部骨折及び骨盤骨折の疑いと診断され入院。その後患者は意識レベルが低下しため、頭部レントゲン検査及びCT検査を実施、頭蓋骨骨折・硬膜下血腫及び脳室内出血が認められ脳神経外科のある病院に転送、開頭血腫除去術が行われたが死亡した。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14362469.html

歯科における医療過誤・医療事故の判例

請求金額:200万円、支払い結果:70万円

患者は虫歯の治療を受けていたが、歯を削る器具が唇に当たり糸で4針縫合しなければならなくなり、白い傷跡として残った。

※参照元:光樹(こうき)法律会計事務所(http://www.iryoukago-bengo.jp/article/14357662.html

勤務医に「医賠責」が必要な理由とは?

整形外科医や産婦人科などの勤務医は日々、数多くの手術や高侵襲の検査などの医療行為を行っています。細心の注意を払って診療にあたっているものの、医療事故が発生するリスクはあるでしょう。

そこで「医賠責」に加入し、万が一の事態に備えておくことが大切です。加入すると、訴訟が起こった場合に賠償責任審査会が中立の立場となって解決にあたってくれます。また、高額な賠償金支払いの義務が発生した場合でも、医師自身の立場を守ってくれるのです。

このように、医療訴訟などのリスクヘッジとして「医賠責」への加入は必要といえます。

訴訟件数の増加と賠償金額の高額化

実際に医療訴訟の件数は増加しており、2000年以降は年間1,000件を超えています。2010年以降は減少や横ばい傾向が続いているのですが、それでも年間800件ほどの訴訟件数があるため、備えておく必要があるでしょう。

また、賠償金額についても高額化し、1990年代は1億円を超える賠償金はほとんどありませんでした。しかし、近年は2億円や3億円といった高額な賠償請求の事例もあり、医師が自身の立場を守るためにも「医賠責」に加入する必要があります。

医師自身を守るために必要な保険

田伏 秀輝

田伏 秀輝

医師向けの賠償責任保険は、訴訟件数の増加や賠償金額の高額化、医師個人に対する訴訟などの背景から、医師自身を守るために必要な保険といえます。